多岐亡羊

社会を漂いもがいて何とか生き長らえる子羊です。

経過報告1

 3月11日

 会社を休職することにした。正確には、2月末から会社に行っておらず、先週の金曜にようやく休職の手続きが終わった、ということだ。

 

この数年間、とにかく前に進みたくて、届かないものに手を触れたくて、それが具体的に何を指すのかも、ほとんど強迫的とも言えるようなその思いが、どこから湧いてくるのかも解らずに僕はただ働き続け、気付けば、日々弾力を失っていく心がひたすら辛かった。

そしてある朝、かつてあれ程までに真剣で切実だった思いが綺麗に失われていることに僕は気付き、もう限界だと知った時、会社を辞めた。  

  -秒速5センチメートル-

 

 会社を辞める時はこの台詞をTwitterで呟こうと思っていたのだが、概ねこんな感じである。

 必死に生きようとして、もがいてもがいて、何かを掴みたくて、焦って、つらくて、苦しんで。そんな日々を送り続ける度に心は濁り、顔も曇り、体は固くなり。

 ついに頭も心も体も動かなくなり、何かが音を立てて途切れた。「もう、何もしなくていいんだな」と。世界から手放された。

 濁流の中から静寂へ。そこには何もなかった。辿り着いたという感覚もなく。投げ出されたという感覚もなく、ただ、そこに元々いたようにしか思えない。

 あの日の悲しみも、苦しみも、輝きも、微笑みも、もうどこにもなかった。

 五里霧中から、凪の状態へ。台風を抜け出し、目に入ったと思ったら、永遠に出られなくなった。

 何者かになりたくて、何者にもなれず、何も得られなかった。

 いつでも探していた。どっかに...何かを。